つれづれマンガ日記 改

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河よりも長くゆるやかに

デビュー以来、
独自路線を走り続けた作者「吉田秋生」の
感性が良く出ている作品。

男子高校生3人組の男くさい青春を描いた物語
と紹介される事の多い本作だが、
その表現は適切ではない。

出展は忘れてしまったが、
「読んだ時に女子高の雰囲気だと思った」
という感想が正しく、本作は
「女性作者から覗いた、限りなくリアルに
 近づけようとした男子高校生の男くさい青春。」
という位置づけが正しいのだろう。

その事は「櫻の園」との
出来栄えの違いで強く感じさせられる。

勿論、本作も十分に面白いのだが、
櫻の園」や海街で表現される
女性キャラクターの一瞬と比較してしまうと、
やはり、その差は顕著である。

ただし「櫻の園」は本質的には女性作者が描きやすい
女子高という舞台だったのに対して、本作が男子校となっているのは
デビュー以来、一貫して異端の作品を発表していた
作者の感性がより挑戦的な舞台を選ばせたのではないだろうか。
そんな作者の精神を感じる作品。

ちなみに全2冊だが完結しているというより、
そのまま連載が続いていないというタイプの終わり方である。

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河よりも長くゆるやかに (小学館文庫)

河よりも長くゆるやかに (小学館文庫)