つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

レタスバーガープリーズ.OK,OK!

(2012年評)
昨日レビューした「忘却の旋律 」が
タイトルで得をしている作品だとすれば、
この作品は真逆である。
完全にタイトルで損をしている。

正確には、松田奈緒子作品が全般にわたって
タイトルで損をしている。

この作者の作品は間違いなく、
もっと売れていい。

その凡庸なペンネームとタイトルからは、
予想もつかない面白さに溢れた作品を描くマンガ家である。

そして、個人的に一番好きな作品が
本作である。

時代小説を描く主人公(三十路)と、
その挿絵を描く男性との交際から始まる本作。

舞台は恋愛だが、
描かれているのは人間ドラマである。
それも、かなり深い。


たまにその個性溢れる作風が、
おかしな方向に振り切れてしまっている話もあるが、
その辺りも我慢できてしまう面白さがある。

また、最終回があまり評価できない作品だという点も、
逆にこの作品の魅力を押し上げている。

私は個人的には「マンガは完結してこそ花」
というスタイルなので、
最終回をしくじる作品に高い点はつけない。

けれども、本作は数少ない例外の一つなのだ。

リアルタイムで読んでいた時の、
あの最終回には心底面食らったが、
それでも本作の価値は少しも損なわれなかったという、
この事実に、さらに驚愕させられた。

意味不明なタイトルに、
「葵の紋」が光る謎のカバー。

完全に一見さんお断りの雰囲気を出す単行本。

この作品の暖簾をくぐる事を、
是非マンガ読みにはお勧めしたい。


(2016追記)
「重版出来」が売れて、本当に良かった。


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