(2012年評)
少年マンガという括りで見ると、
どの作者が一番か、という質問に
答えるのは難しい。
手塚治虫亡き後、
その問いはますます困難になりつつある。
しかし、少女マンガは違う。
色々なご意見があるだろうが、
少女マンガの神様は現役だ。
私の中では間違いなく
萩尾望都がそれにあたる。
花の24年組
その中でもやはり、
萩尾望都が傑出した存在である事は
本作を読めば明らかである。
昭和49年
当時、少女マンガに、
これほど文化的・芸術的な雰囲気を備えた
作品が生まれることを
誰が予想しえただろうか。
今読み直しても、
全く色あせない、マンガの枠を超えようとした
面白さが本作には含まれている。
この時代に、これほどの作品を、
残していた事に、
驚嘆せざるを得ない。
最近、市川春子作品に対して、
芸術的表現と、マンガの面白さが相対していない
稀有な例と表現したが、
本作を読み返して、改めて思い出されられた。
日本で最初に、その二つを両立させたのは、
この人だった、と。
少女マンガの神様には
まだまだ現役でいてほしいものである。
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