(2012年評)
3巻で完結となってしまった本作。
思ったより寿命が短かったというのが、
正直な感想である。
ケータリングの仕事をしている主人公レイコは、
他人の冷蔵庫の中身から、
その人の人生をプロファイリングできる冷蔵庫探偵。
この設定はかなり秀逸だった。
1巻2巻と、それほどマンネリにならず、
丁寧に冷蔵庫プロファイリングを描いていた
作風には好感が持てたのだが、
やはり昨今のマンガにしては地味だったのだろうか。
もしくは原作者のネタ切れか。
雑誌で読んでいなかったので
そこらへんの温度感はわからないが。
ただ、確かに冷蔵庫と探偵というキーワードだけでは、
続けていくのにも限界がある。
他の探偵ものだと、中盤あたりでライバルが登場するのだが、
冷蔵庫探偵にはライバルがいるとは思えない。
その辺りは、本作がもともとニッチジャンル狙いの作品であり、
長期連載には向かない弱点を持っていたといえる。
しかし、長続きしなかったからとはいえ、
探偵モノという使い古されたジャンルで、
新しい存在を生み出した原作者の力は高く評価したい。
主人公のキメ台詞
「わかるのよ、冷蔵庫を見ればね」
は、文字で読むと笑いを誘うが、
マンガで読むと格好良く見えるのだから、
マンガというジャンルは相変わらず奥が深い。
(2016追記)
この頃からゼノンは食というジャンルに手を出して、
今のラインナップを育てていたのだなぁ、と考えると感慨深い。