「北条司」のデビュー作にして出世作。
連載開始から既に30数年が経過したにも関わらず、
未だにその名を知られている数少ない作品の一つである。
その偉大さを裏付けている要因の一つは、
やはり緻密な画力だろう。
現在のマンガは、純粋な画力という側面においては、
全く別のベクトルに進む、もしくは、
原作と作画を分ける事でしか成立していない事を考えると、
このクオリティで週刊連載を続けた事は尋常ではない。
当時マンガ界で、誰の画力がスゴイと言えば、
圧倒的に「北条司」であり、それ以上考えられないほど、
描き込まれた世界とキャラクター達は、
マンガと劇画の中心をいく、新しい時代のマンガだったのだ。
その後、井上雄彦という系譜が続いていくわけだが、
その辺りはまた別の話。
もう一つのヒット要因はやはりキャラクターの魅力にある。
画力という要素を使って最大限に完成された世界観のうえで、
魅力的な三姉妹と、主人公の刑事が対立する構図は、
新人作品とは思えないほど完成された構成だった。
しかし、反面80年代ジャンプらしい弱点も持ちあわせており、
ストーリーや伏線回収、秘密を持つ主人公の救済という
一連の問題に関して、面白い作品だったかと問われると、
正直難しい。というか今一つである。
ただ、そんな弱点を補ってなお余りある、
キャラクターの魅力と画力に支えられた世界観が、
長きにわたってこの作品が支持され続けてきた理由なのだろう。
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