つれづれマンガ日記 改

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イタズラなKISS

90年代、いや少女マンガ界における
ブコメディの大金字塔。

作者「多田かおる」急逝のために 、
未完となってしまった本作だが、
それを差し置いても、
全く問題がないほど本作は面白い。

90年代少女マンガ界には、
他にも非常に多くの名作が揃っていたが、
「恋愛」ではなく「ラブコメディ」を描かせたら、
本作が一頭地を抜く作品であった。

そして、その魅力の中心こそが、
主人公2人のキャラクターの強さだろう。


この作品を読み終えて何を思い出すかというと、
結局のところ、その二人の関係であり、
その強さだけで、ここまで読者に愛されたのだから、
他に類を見ないキャラクター造詣の成功例である。

また、それだけ書くと他のキャラクターに

魅力がないように思えてしまうが、全くそんな事はなく、
恋敵の「金ちゃん」や、終始「琴子」を味方する「お義母さん」等、
強烈な個性のキャラクターを周囲に置きながら、
それでも最後にしっかり全てをもっていく「入江くん」に、
すっかり琴子ならぬ読者は惚れる仕掛けになっているのである。

一つだけ惜しむらくは、
物語としては完全に第10巻の時点で完結しており、
それ以降は、若干惰性で続いてしまっている事ぐらいか。


ただ、それ故に未完でもなんとか
読者は立ち直ることができたわけだから、
長期連載にも良い側面があるわけだ。

90年代少女マンガを代表する作品として、
確実に抑えるべき大傑作だろう。

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