個人的にツボにはまるマンガ家というものが、
どなたにもあると思う。
私の場合は、桑田乃梨子がその一人だ。
本作、ひみつの犬神くんでのデビュー以降、
基本的には全ての単行本を購入している事になる。
大傑作を出すわけではないが、
なぜか飽きのこないゆるふわラブコメディを描き続けて、
気がつけばもう20年以上が経過したのだから、
立派に大御所の一人だろう。
また、彼女の描くモブキャラ達が
大変可愛らしいのもお気に入りの点だが、
以前、巻末コメントを読んだとき、
本人もモブキャラを描くのが楽しいと言っていたので、
得心がいったものだ。
本作の主人公は狼男である秘密をもつ犬神くん。
そんな秘密を知ってしまった友人とヒロインによる学園ラブコメディ。
いたって特別な展開はないが、なんとなくまったりと楽しい気分になる作風。
本作以後、長きの間に渡ってそのスタンスがぶれる事無く
作品を創造し続ける創作姿勢には感動させられる。
誰にでも真似できそうな絵柄と作風に見えて、
誰にも真似できない存在。
これこそが、マンガ家に求められる
オリジナリティというものなのだろう。
今後も彼女の単行本はきっと買い続ける事になるはずだ。