つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

ギャラリーフェイク

鬼才細野不二彦が描く、
唯一無二の美術マンガ。

贋作を扱う「ギャラリーフェイク」のオーナー藤田は、
メトロポリタン美術館のキュレーター(学芸員)。

真贋問わず世界の名品が集う
アートギャラリー「ギャラリーフェイク」では、
絵画、彫刻、陶芸、骨董品と、
様々な分野の美術品が
時に静かな人間ドラマを産み、
時に陰謀溢れる冒険活劇の引き金ともなる。

掘ればいくらでも物語の泉がわいてくる本作のテーマだが、
残念なことに、多くのマンガ家は、この作品のテーマを
思いつけたとしても実際にマンガに落とすことはできないだろう。

マンガの中で美術作品の真贋を描く業は、
それほどまでに高いスキルが求められる。

違和感なく、マンガのページの中に
美術品を落としこむ細野不二彦の腕前は尋常ではない。
やはりアニメーター出身のマンガ家はその技術力において
一線を越えていると言えよう。

また、90年代というはるか昔に、
メトロポリタン美術館のキュレーターという、
斬新な設定を持ってきているところにも、
作者の慧眼が伺える。

マンガが本格的に
マンガの枠を超え始めてきた頃。

そんな時代の、記念碑的な作品といえるのかもしれない。

今もなお、本作を越える美術品マンガには出会えていない。

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