つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

キン肉マン

「やったぜーっ! とうとう念願かなって、
キン肉マンが単行本になったぞー!! 
もうベストセラーまちがいなし! 
そうなれば本だけでなく、
テレビ化…い、いや映画化だって夢ではないし、
町では、キン肉マンの人形や
お菓子だって売り出され子どもたちは、
それらを持ってキン肉マン音頭の大合唱。
そして、ぼくたちはというと、
連日のテレビ出演で大いそがし。
あらあ…夢だろうな…やっぱしー!!」

ご存知の通り、これは、
キン肉マン第1巻のゆでたまごによる巻頭コメントである。

そして、最終巻の巻末あとがきで、もう一度彼らは語る。
「これらは一つずつ、全て現実のものになりました」、と。

こんなに素晴らしいあとがきも
滅多にお目にかかれない。


振り返ると、キン肉マンという作品は、
まさに登場したての超人「キン肉マン」そのものだった。


当時人気を博していた、劇画系の画力があるわけでもなく、
後年始まる「Drスランプ以後」の所謂ポップな絵柄の
ギャグ作品が描けるわけでもなく。

何の取り柄も無いダメ超人。

けれども、超人オリンピック以降、
作品への風向きが変わってくる。

第二回超人オリンピック。
悪魔超人編。
夢の超人タッグ編。

そして、気がつけば、逆境をバネに闘い続けた不屈の超人は、
王位争奪戦に参戦するまでの主人公に成長していた。


何の取り柄も無かったけれど、「友情」と「努力」を忘れずに
情熱だけは誰にも負けなかった主人公。


その結果が、今日までに続く、「キン肉マン」という
キャラクターへの人気を支えたのではないだろうか。

数多のリバイバル作品が、残念な続編を続ける中、
キン肉マン」のみが、全く違う立ち位置を維持し続けている事が、
その証左である。


ドジでマヌケなヒーローが、
次第に成長して世界を救う。

それは、作者すらも予想し得なかった
大きな魅力の詰まった作品だったのだ。

 

必ず抑えておくべき、
80年代少年マンガの金字塔である。

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