(2012年評)
最初に断っておくが、デビュー作「カラスヤサトシ」
を読まずに本作を読んでも何も面白くないという点を強調したい。
本作はマンガ家カラスヤサトシが
自分の理想の女性に出会うために
どうしようもないお見合いを繰り返し、
そして、最後には幸せな結末を迎えるという、エッセイマンガである。
カラスヤサトシは、昨今でこそ、それなりに売れてきたからか、
描くマンガも人並の感性に戻りつつあるが、
「カラスヤサトシ」1巻の頃等はかなり酷い精神状態だった。
酷いというより、もう若干病気だったといえる。
名作、「幽玄漫玉日記」の桜玉吉が
自身をうつ病と認識していたのに対して、
「カラスヤサトシ」はそれを全く自覚していなかった。
しかし、第1巻に収録されている4コマのいくつかを見てみれば、
人格的に壊れていた時代があるのは明らかである。
「今、この瞬間足を動かしたらそのまま窓から飛び降りて死ぬ!」
みたいなゲームを自分自身に課すような4コママンガが、
常人の発想であるわけがない。
そんな「カラスヤサトシ」が結婚できるとは。。。
もはやそれだけで私などにしてみれば感涙モノなのである。
「カラスヤサトシ」や「福満しげゆき」等に対しては、
どうしても人生を同じ時間で歩んでいる様な
不思議な共感を抱きながら、
ついつい単行本を手にとってしまうのである。
故に、大事なことなのでもう一度書いておくが
「カラスヤサトシ」の第一巻をまずは読むことをお勧めする。
そこで、面白さが理解できなくても、それは常人の感性なのだ。
ただ、第一巻の病的な感性に魅かれるのであれば、
彼の作品全てに手を出してみても良いのかもしれない。
結婚しないと思ってた オタクがDQNな恋をした! (チャンピオンREDコミックス)
- 作者: カラスヤサトシ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2012/01/20
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