サブカルチャーで悦に浸っている
どうしようもない人を笑い飛ばす本作だが、
個人的に気になったのは
本作に対する不評レビューの多さである。
恐ろしい数の人に嫌われている作品だ。
それだけで、本作がそれなりの作品であるという事が良く分かる。
この手の他人の人生を俯瞰する作品は、
読者の心に突き刺さるほど、憎しみを持たれるもの。
これだけ多くの低いレビューが付いているという事は、
この作品に刺されて、やり返さずにはいられなくなった、
そんな読者がそれだけ多かったという事なのだろう。
毒にも薬にもならないとは真逆に位置する、
毒だらけの本作は、
確かに確個たる自分の人生が築けていない
若年の頃には少し程度が過ぎる劇薬かもしれない。
作者のあとがきにあるとおり、
本作は、他人の人生を想像して、
主観と客観の円環を描いた作品である。
故に、本作に過剰に反応してしまうのは、
自分自身が、マンガ世界の中にいるからなのである。
本当の事を言われると一番怒る。
人間なんてそんなものなのだろう。
最終話のラストは、何とも言えない味があり、
その点が本作の構成を非常に高くしている点は評価したい。
カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生
- 作者: 渋谷直角
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2013/07/30
- メディア: 単行本
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