「まあじゃんほうろうき」の頃から
「西原理恵子」作品を読んでいるわけだが、
既に二十数年が経過してしまった。
その間、彼女のヒットにあやかろうと
様々な女性ルポ系作品が世の中に登場したが、
最後の女無頼派として、
後続を寄せ付けなかった結果が現在の地位である。
そんな作者の最高傑作は、
やはりこのシリーズではないだろうか。
ひたすら余裕がなく体当たりで現場に出ていた、
「まあじゃんほうろうき」
「どばくちさいゆうき」の頃のような、
破天荒さだけの時代と、
「毎日かあさん」時代で世間に浸透していく
叙情派が強めの時代。
その中間にあり、
どちらの良さも併せ持ったシリーズ。
勿論、本シリーズ自体が全5冊とはいえ、
10年近い作品群の集大成なので、
当たり前と言えば当たり前なのだが、
西原理恵子作品の変遷の
全てが詰まっているところが素晴らしい。
シリーズ中でも傑作としてオススメなのが、
無頼派の「脱税できるかな(V3収録)」と、
叙情派の「パチクロ(クアトロ収録)」である。
この2作品が入っているだけでも、
できるかなシリーズは手に取るべきだろう。
ちなみに「田中圭一」が発明と評した
「人の顔色を緑に塗る」技法も、この時代に確立されている。
西原理恵子作品に興味がある方には、
是非オススメしたいシリーズ。
文庫版は文字が小さくて読みにくいので、
SPA!コミックス版が良い。
最後に評価だが、
描けば描くほど下手になるのがウリの作者なので、
画力は賞賛の意味で、低評価としておきたい。