90年代少女漫画を語る上では外せない有名作品。
アニメ化もされたので、ご存知の方は多いかもしれない。
ハイテンションな主人公紗南を中心に描かれる
学園スラップスティックコメディな導入部だが、
物語のテーマは読者の予想をはるかに上回り重い。
作者小花美穂は確実に ギャグとシリアスのモードを
切り分けて描けるタイプのマンガ家なのだろう。
ギャグとシリアスの両立はとても難しい問題であり、何より、
今どちらのモードで物語を展開させるべきなのかを読み間違えると、
作品の質がぐっと下がってしまう。
読者はやはり、泣き所では気持ちよく泣きたいし、
笑いどころでは素直に笑いたいものなのだ。
その辺りはやはり感性に委ねられるのだろう。
本作は、その見極めが大変上手い。
その為、普段はハイテンションな主人公が
シリアスモードに入るとグッと心をつかまれる。
ギャップ効果なのだろう。
最終章等はその顕著な例で、
あれだけ元気に振舞っていた主人公が笑わなくなる展開、
そしてその解決方法、
どちらもギャップ効果を最大限に活かした好事例だ。
ぱっと見の絵柄・ストーリーからは読みきれなかった作品だが、
「こどものおもちゃ」という意味深なタイトルからして、
作者の力量は言わずもがな、だったのかもしれない。