傑作社交ダンスマンガを連載した、
ヤマシタトモコが描く、
女性をテーマにしたオムニバス形式の作品。
一つ一つの話の完成度は非常に高く、
様々な日常の場面における
女性心理が鮮やかに描かれている。
個人的には、女子高生の日常を描いた、
3話目の作品が最も秀逸と感じる。
お勧めできる作品である。
ただ、大変残念な事に、
よしながふみ作「愛すべき娘たち」
には届かなかった。
同じ女性心理をテーマにした作品同士となると、
やはり後者を推してしまう。
両者の違いは何かと問われれば、
雰囲気や空気なのである。
具体的にいえば、
何も喋らないコマにおける絵のセンスだ。
本作が、セリフと心理描写を細かく描くことで、
読者に対して強制的にその心情を伝えるのに対して、
よしながふみは、何も喋らせず、心理描写もしない。
ただ、解釈を読者に求めてくる。
そこに大きな違いが出てくる。
片方しか読まれたことがない人は、
是非両者を読み比べて欲しい。
無論、どちらも面白い作品であるという点には、
疑問の余地はない。