読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

ゴールデンライラック

1970年代女性系 総合3.5以上(オススメの名作)

表題作「ゴールデンライラック」は、
萩尾望都作品の中でも、
地味の雰囲気の作品だろう。

しかし、この地味さが、
人生の渋みを感じさせて非常に良い。


ライラックの茂みの中で出会った、
ヴィクトーリアとビリーの二人の小さな恋人は、
その後、様々な人生の波に翻弄されながらも、
お互いを心の片隅に置きながら生きていく。

しかし、本作は良くある浅い恋物語ではない。

ヴィクトーリアが最初に結婚するのは、
中年の紳士ハーバートだ。
彼の財産と熱心な求愛にほだされ、
彼女は結婚を選ぶ。

けれども、ヴィクトーリアはビリーを忘れられず、
ついにハーバートに懺悔する。

「あなたを一番愛していたわけじゃないのに結婚したわ」
その言葉にハーバートはこう返すのだ。
「そんなことはいいんだ。わたしのほうは一番愛してたんだから」

萩尾望都との対談集で羽海野チカが絶賛するこのシーンは、
人生の持つ豊かさを感じさせてくれる名場面である。


この作品を描いたのが、30歳前後の頃かと思うと、
作者の持つ幅広い人生観に恐れいる。


同じく収録されている「ばらの花びん」も
小気味良いテンポで描かれる傑作。


マンガという文化を一段上の世界に引き上げてしまった
作者の若き頃の才能を楽しめる傑作だろう。

f:id:mangadake:20160609081219p:plain


 

ゴールデンライラック (小学館文庫)

ゴールデンライラック (小学館文庫)