「魚喃キリコ」の代表作と呼ばれる本作だが、
個人的にもこの作品を推したい。
女性の持つ内面世界を、
4人の登場人物を通して、
これでもかというほど繊細に
美しく表現した本作。
基本、ショートストーリーの連作ではあるが、
少しずつ時間軸が動く中で、
変わっていく関係性と
描かれる人間描写が素晴らしい。
また、その圧倒的に独特な線で描かれる物語が、
何とも言えない魅力にあふれている。
構成も良い。
4人の女性の視点で雑多に進む物語が、
こんなにもバランスよく、
惹き込まれて読める引力を持つのは何故なのか。
過食症のイラストレーター、
自分の居場所を求める事務OL、
恋の訪れを待つフリーター、
仕事を隠して愛しい男に会いにいくホテトル嬢
これら4人の主人公はそれぞれが、
「自立、依存、平凡、羨望」
といった女性社会の悩みを体現するアイコンである。
それらをバランスよく描きながら、
赤い苺のページを挟んで創られた
straberry shortcakes。
これは、女性系作品が好きな方は、
一度は目を通しておくべき作品なのだろう。
まぁ、自意識を掘り下げるスタイルなので、
嫌いな人は嫌いかもしれないが。
Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD)
- 作者: 魚喃キリコ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2002/12
- メディア: コミック
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