評価:3.36 / 5点
最終更新:
過去記事リライト。
ちなみにフープメンの連載終了は2009年で最初にレビューを書いたのが2016年。
2016年当時のレビューでは「井上雄彦は半ば生き神的な存在になってしまっているので、あと10年近くは、ジャンプで真面目なバスケマンガは連載しないほうが得策かもしれない。」と書いていたわけだが、結局、10年たっても本格バスケマンガはジャンプには登場しなかったのだから高すぎる壁なのである。
さて、そんな鬼門のバスケに挑戦したという意味で、そして、ジャンプ打ち切りマンガの中でも上位に来る実力派の漫画として知られているのが本作だろう。
改めて読み直して感動した。ちょっとこれは凄い作品だ。
本作の主人公「佐藤雄歩」は、スポーツの素人である。
なのに突然バスケ部に勧誘される。
なぜなら、彼は英語が喋れたから。
スタープレーヤーとして入部早々大活躍している外国人の留学生「ジョシュ」の通訳としてこの主人公は活躍するのである。
山のように色々なマンガを読んできたブログ主だが、スター選手の通訳という物語の開始地点は、ちょっと記憶にない。それぐらい素晴らしい着眼点だった。
しかも、少し発言が激しいジョシュの言葉を柔らかくチームメートに翻訳して伝えるという実際の通訳の苦労的な側面を第一話から描くわけである。
どんな大人向けマンガだよ、という話だ。

しかし、いかんせん、さすがにジャンプにしては地味すぎた。
選手間のコミュニケーションに苦労する主人公は、中間管理職そのものであり、大人の読者には面白いだろうが若年層に受ける存在ではなかっただろう。しかも時代は2009年。まだまだ大人向けマンガはジャンプには早すぎる時代だったのでである。
この「通訳」を主人公に置いたコミュニケーションを軸にするマンガというのは恐らくモーニングあたりで連載したら、今でも通用する設定なのではないだろうか。
推測だが、作者「川口幸範」は間違いなくオトナな人物である。マンガバカでマンガばかり描いていた人が連載を持ったタイプでは決してない。
どちらかというと、リアルに人生を楽しんで、様々な人間観を体験談として持っている人物である。それ故にキャラクター描写が上手く、作中のどのキャラクターも、リアリティに溢れていた。
「下手に二次元的な傾向に迎合するのではなく、自身の作風に相応しい連載誌を選択すれば、間違いなく生き延びていける才能なのではないだろうか。」
これは2016年当時のレビューだが、実際に今も作者は「夏川口幸範」名義で漫画を続けている。
作中でも色濃く哲学を語る監督キャラ「為吉」は最終回で、「せちがらい世の中を生きていくには心にも栄養が必要なんだ」と残す。
少なくとも、この作品の最終回のレベルの高さは、並のジャンプ作家を超えるレベルであり、連載終了後も高く評価を残す名作を生み出したという事実を作者は心の栄養として誇って良いだろう。
実力派の作品である。
読後メモ:バスケ×通訳×コミュニケーション
- 好き:通訳視点の新規性と、言葉の調整に現れる人間関係の機微
- 弱点:派手さ控えめで少年誌では地味に映る回がある
- おすすめ:スポーツ×人間ドラマや会話劇が好きな読者
- 評価:3.36 / 5
レビュー執筆:mangadake(当ブログ管理人)
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