評価:4.85 / 5点
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最近、萩尾望都対談集が出たので、ついつい萩尾望都作品を読み返す日々。
マンガ好きならば一度は人から聞かれる質問が、
「どのマンガが一番面白いの?」だ。
そんな単純に序列がつけば簡単なのだが、メジャーすぎても最近すぎてもマニアックすぎても困るのでなかなか回答に詰まるわけだが、それでも一つ決めていることがある。16ページ短編一本を選べと言われれば、この
「半神」
を推すと。
萩尾望都作品といえば「ポーの一族」を筆頭に「トーマの心臓」「11人いる」等の知名度が高い作品が多数あるが、傑作短編という意味では後にも先にも本作を超えるマンガにはお目にかかったことがない。
萩尾望都の名前が私の中で不動の位置づけになったのも、本作との出会いからだった。
一説では、16ページで物語は作れない、と言われた作者がそれなら作ってみせる、と思い創作した作品だそうだが今となっては言説のソースが見つからないので出典が書けないのが悩ましい。
漫画の神様、手塚治虫も同じような傾向があるが、本当に昔のマンガ家の描く密度は恐ろしい。限られたページ数の中で、物語を伝えるという力は、残念ながら現代のマンガ家には失われてしまった能力だろう。
書いていて何だか「少ないメモリでスーパーマリオを作った」みたいな話と似ているな、と思ってしまった。要は制約というのはある種人間の能力を高めるのかもしれない。
さて脱線したので本作「半身」の話題に戻ろうと思うのだが、恐ろしいことに、この「半神」はレビューが全くできない作品なのだ。

主人公は双子の姉妹、ユージ―とユーシー。
語れるのはここまでである。それ以上は恐れ多くてレビューできない。
多くの人が、あらすじを含めて本作を賞賛しているが、それらのレビューやあらすじを読んでも、この作品の面白さは全く伝わらない。
さらに付け加えると、仮に本作のネーム部分のセリフや文章を全て抜き取って、それを読んだとしても、物語の結末はわかるだろうが、恐らくまったく面白さが再現できないだろう。
これは、本作が
「マンガ」というジャンルに特化した表現として
成立していることの証左なのである。
このブログを更新するために久しぶりに再読してみたが、あらためてその面白さと世界に引き込まれてしまった。ちょっと凄すぎる作品なのだ。
この作品を読んで以来、様々な萩尾望都作品に手を出した結果、やはり現代における手塚治虫の正当な後継者は萩尾望都なのだろうというのが私の結論である。
是非とも自分の手にとって、この感動を味わっていただきたい。
ちなみに、文庫版も手ごろでよいが絵を楽しむ意味でサイズの大きいPerfect Selectionをお勧めしたい。傑作「イグアナの娘」も含まれており、萩尾望都短編を存分に楽しめる内容になっている。
ただ、プレミアがついてしまっているのが難点だが。
まだ、この作品を読まれていない方々が、うらやましい限りである。
不朽の名作というのは、こういった作品にこそ与えられるべき名誉なのだろう。
読後メモ:16ページ短編の極致
- 好き:限られた頁数に凝縮された構成美と視線誘導、余白が生む余韻
- 弱点:なし
- おすすめ:素晴らしい短編を味わいたい人
- 評価:4.85 / 5
レビュー執筆:mangadake(当ブログ管理人)

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