つれづれマンガ日記 改

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フープメン

総合評価・・・3.36

改めて読み直すと、感動する。
本当に面白い作品だ。

ジャンプ打ち切りマンガの中でも、
かなり上位にくる作品といっていいだろう。


しかし、やはりジャンプでバスケという
テーマはよくなかった。

井上雄彦は、半ば生き神的な存在に
なってしまっているので、
あと10年近くは、ジャンプで真面目なバスケマンガは
連載しないほうが得策かもしれない。
黒子は王子様と似たジャンルなので許されたのである。


本作の白眉はやはり「地味な主人公」
という点だろうか。


スター選手の通訳という物語の開始地点は、
類を見ない素晴らしい設定だった。


しかし、いかんせん、ジャンプにしては地味すぎた。

選手間のコミュニケーションに苦労する主人公は、
中間管理職そのものであり、大人の読者には面白いだろうが、
若年層に受ける存在ではなかっただろう。


推測だが、作者「川口幸範」は
間違いなくオトナな人物である。


マンガバカでマンガばかり描いていた人が
連載を持ったタイプでは決してない。

どちらかというと、リアルに人生を楽しんで、
様々な人間観を体験談として持っている人物である。

それ故にキャラクター描写が上手く、
作中のどのキャラクターも、リアリティに溢れ
良い意味で漫画的ではない。

結果、大変残念なことに、
マンガとして地味になってしまっていた。

しかし、これは読者のレベルの問題ともいえる。

下手に二次元的な傾向に迎合するのではなく、
自身の作風に相応しい連載誌を選択すれば、
間違いなく生き延びていける才能なのではないだろうか。

少なくとも、最終回のレベルの高さは、
並のジャンプ作家を超えるレベルであった。


作中でも色濃く哲学を語る
監督キャラ「為吉」は最終回で、
「せちがらい世の中を生きていくには心にも栄養が必要なんだ」
と残す。


本作の結果を早期打ち切りとは捉えず、
連載終了後も高く評価を残す
名作を生み出したと考えてほしいものだ。

是非、次回作を読んでみたい作者である。

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フープメン 1 (ジャンプコミックス)

フープメン 1 (ジャンプコミックス)

 
フープメン 2 (ジャンプコミックス)

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