強烈に感想を描くのが難しい作品。
さすが「松田洋子」である。
ヒロイン相羽奈美を追い回す
ニートの引きこもり主人公が、
交通事故に巻き込まれて、結果、犬になり、
彼女に飼われる事になる。
ここまででも相当強烈な展開だが、
この主人公が人間に噛みつくと、
その人間がもっているダメな側面を
強調した犬になるという狂っている展開。
この辺りの描写が秀逸で、
人間の美醜が見事に犬の描写とマッチしており、
作者の人間のエグさを描く本領が、
見事に発揮されていると言える。
作品自体は、エンターテイメントであり、
人間ホラーであり、そしてよく考えると哲学。
そう考えてみると、
「松田洋子」の一連の作品と
あまり変わらない気がしてくるが、
そんな作品を描き続ける狂気に
読者は今日も恐れ入るのだ。