つれづれマンガ日記 改

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DRAGON BALL

本作もわざわざ説明不要の大傑作。
いや、売上だけで言えば世界最高の作品だろう。

ただし、本作はその評価において、
少し特徴的な作品と言わざるを得ない。

 

それは、誰しもがマンガをある程度読むと、

DRAGON BALL」が面白いとか言ってるやつはマンガをわかってない。

という病気にかかる点だ。

 

こんな単純で、パワーインフレばかり起こしたマンガの何が凄いのか、と。

子供は面白いけど、大人の深い感受性に耐えうる作品ではない、
そんな寝言をほざいてしまう。

無論、私もこの病気にかかった。

しかし、その時代を超えて改めて本作を読み直すと、
畏怖すら感じるのが正直なところだ。

まず、第一に絵が恐ろしく上手い。

鳥山明はマンガ界でも数少ない、
「視点を360度動かせる」マンガ家だ。


あれだけのスピード感あるアクションが描けるのは、
どんなカットや角度からでも絵が描けるからである。

読み返してみて頂ければわかるが、
実際のところナメック星人フリーザ等の
空想上の宇宙生物のキャラクターを
どんな視点からも描ける画力はただ事ではない。

この点は、他のアクション系の作品と比較してみればよくわかる。
絵の上手さと、安定感が抜群なのだ。


そして、第二に「わかりやすさ」がある。

子供たちの多くが、ドラゴンボールを真似して遊んだのは、
わかりやすかったからだ。
かめはめ波」は本当にわかりやすい。
スカウターを利用した戦闘力の数値化も異様にわかりやすい。

後のマンガ家は多かれ少なかれこれらの影響を受けている。


そして最後が、主人公孫悟空の魅力だろう。

少年マンガはかくあるべき、とも言うべきキャラクター性。

孫悟空が苦戦する度に、読者は心の中で彼を応援し、
そして孫悟空が地球を救うたびに、読者もまた、
その爽快感、達成感に身を委ねる。


あれだけの純粋さを持つキャラクターだからこそ
読者はためらうことなく、主人公に肩入れすることができるのだ。


ヒーローは常にヒーローであるという
マンガにおける素晴らしい哲学を守っているのが本作であり、
ドラゴンボールがパチンコに登場しないのは、
そんな作者の矜持がゆえである。


岸本斉史」が残したように、
孫悟空といえばかつては西遊記だったのに、
今の日本においては、それがDRAGON BALLに成り替わってしまった事を
考えると、その偉大なキャラクター性がよくわかる。

結局のところ、世界で一番売れた作品は売れるべくして売れた。

そんなとこなのだろう。

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