本作を読んだとき、作者「にわのまこと」は天才だと思った。
次作「リベロの武田」を読んだとき、その確信は若干揺らいだ。
真島くんを読む頃には、にわのまことは天才ではなかった、
と思い知らされた。
大変悲しい思い出である。
プロレスという難しいジャンルにおいて、
本作ほど成功した作品は、近代ジャンプを紐解いてみても稀である。
笑える、泣ける、盛り上がる。
無駄な展開はなく、全10冊でキレイにまとまった稀有な作品。
これほどの作品を残した作家が、
なぜ今の状態にあるのか、不思議でならない。
しかし、一つ考えられる軸があるとすれば、
小畑健の存在なのかもしれない。
今でこそ人気作家としての立場を確立している小畑健だが、
デビュー当初は苦戦の連続だった。
けれども、原作者付きマンガ家のポジションを獲得して以来、
安定して作品を産み出している。
かように考えるに、小畑健というマンガ家は、
誰かと組んだとき、抜群の才能を発揮するタイプの
マンガ家なのではないだろうか。
そして、小畑健がアシスタントをしていた作品が本作なのだ。
にわのまことは単行本の巻頭コメントで、
天才アシ小畑(当時は土方茂)がいなくなることを悲しんでいる。
今となっては真実はわからないが、
そんな邪推をしてしまうほど、
本作の出来栄えは新人一人の作品としては完璧だった。
この推測を否定するような傑作を、
もう一度是非描いて欲しい。