「松本大洋」は、読むのが難しいパターンの作品が多いのだが、
恐らく、最もエンターテイメントとして入りやすいのが本作「ピンポン」だろう。
子供のころから卓球を愛するペコと、幼馴染のスマイル。
歳を経るにつれて、徐々に変わっていく二人の関係と、
その周りを取り巻く魅力的なキャラクター達。
そして松本作品特有の絵による表現力が、
卓球のスピード感や、スポーツが持つ強烈なインパクトを再現し、
物語に勢いをつけている。
全5冊という短さも心地よく、無駄な展開は一切ない。
これほど素直でわかりやすい展開の松本作品は、
他に類を見ないのではないだろうか。
映画化も果たしたので既に知名度は十分だろうが、
独特の絵柄から敬遠されている方も多いので、
この作品あたりから手に取っていただき、
その後「竹光侍」に手を伸ばしてほしいものである。