「森恒二」続きである。
家族の不幸により社会的弱者の地位に追い詰められ、
日々を地味に生き抜いている高校生「田中マコト」。
そして、彼と対極的に華やかな高校生活を送っているが、
心の中では世界に対する様々な怒りを持ち続ける
もう一人の主人公「ユウキ」。
何ももっていないはずのマコトに、
何故か魅かれるユウキは自身の心の闇を語り、
そして、マコトは、自身の持つ秘密を明かすことになる。。。
世界を壊す力を一般の人間が持った時に、
どのような動きを取るのかという壮大な思考実験と、
現在社会が持つ社会問題をどのように
世界は解決するべきなのか、という魅力的な設定は流石である。
そして相変わらずの画力で、
とにかく続きが気になる構成になっており、
読み始めれば確実に結末が知りたくなる作品だろう。
ただ残念ながら個人的にはラストの展開が物足りなく、
それ故に手放しに評価することができない。
序盤から終盤までの盛り上がり方は圧倒的だったので、
最後の最後、新しい哲学が描けていたら、傑作の仲間入りだっただろう。
ただ、マンガ作品としては十分に面白い水準なので、
未読の方にはオススメしたい。