つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

ムーたち

榎本俊二

下ネタオンパレード作品「えの素」で
その名を轟かせた作者が
その名声をさらに高めたのが本作だ。

何しろ下ネタを一切禁じたうえで、
ますます面白かったのだから天才としか評せない。

一言で言えば、この作品は
恐らく日本で最も書評や感想が似合わない。

もはや、
「読め」
としか言えない。ひたすらマンガ読み泣かせの作品だ。

面白いかと問われれば間違いなく面白いが、
どう面白いのか、なぜ面白いのかは全く説明できない。

一例を紹介しよう。
主人公「虚山実」がファミレスで席に座っていると、
青年がそばにやってきて席を譲ってくれと言われる。
なぜかと聞き返すと、
「その席からは色々なものが11個見えるから」
と返す。
その理由を延々と語り合う。
終わり

意味不明だ。

また、主人公「虚山実」のキャラクターデッサンは
常に崩れながら展開する。コマごとに崩れる。
むしろ崩れるのが彼のキャラクターだ。

意味不明すぎる。

全編を通して得意としていた下ネタは一切封印し、
ひたすら謎のギャグを展開する。
もはやギャグなのかすらわからない。

でもくやしいが面白い。

なぜ面白いのか説明できない自分が歯がゆい。

発想力が斬新すぎて言葉にできない。

つくづく自分は凡人だと思わされる。

恐ろしい作品である。

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