「谷口ジロー」である。
過労死寸前まで働き過ぎた結果、
若者と交通事故を起こしてしまった
主人公「久保田」。
彼が事故から目覚めた時には、
彼の意識は交通事故の相手の若者「小野寺」
の中に混ざりこんでいた。
こんな風に書くと、昨今のライトノベル的な
あらすじに思えてしまうが、
「谷口ジロー」の本格的な絵柄と、
生きる意味を問う真剣な物語の手にかかると、
あっという間に本格的な作品に仕上がるのだから凄い。
「遥かな町へ」で描かれた
タイムスリップ描写も同様だが、
SF設定を違和感なく現実に落とし込む
この画力は圧倒的である。
ただ、物語的にはある意味予定調和的に
答えが見えている部分があったので、
その点では「遥かな町へ」に軍配が上がるところだ。
「孤独のグルメ」で作者を知った人は、
是非、この辺りの作品群にも手を出してほしい。