今更ながら読み返してみると凄い。
まずやはり「寄生生物」という設定が凄い。
この手の系統の作品の中でも
その発想・構想・絵が群を抜いており、
完結まで見事にまとまっている。
また、ラスト付近の主人公の葛藤が素晴らしい。
人間という生物に対する哲学を描けている。
主人公に哲学や真理を体現させようとすると、
大抵口うるさい作品や意味不明な作品に
なってしまうが、本作にはそれがない。
連載当初の寄生獣と言えば、
その残虐な描写と、寄生生物のグロテクスさ、
主人公と寄生生物によるアクションシーンが話題になっていた。
だから、間口が広かった。
最初から地球環境や、
人間と他の生命の共存をテーマに描いてしまったら
これほど読者層の広い作品にはならなかっただろう。
そして、結果として多くの読者が本作を読んだ。
普段、地球環境や人間と他の生命というテーマ等
考えたことがない人達も本作を読んだ。
そして、少しだけ人間という生き物に対して、
地球という環境に関して考えた。
マンガは所詮マンガなのだから、
高尚な知識を得る為に読むわけではない。
エンターテイメントとして読むわけだ。
エンターテイメントという空間を通して、
いつの間にか熱中し、気がつけば
作者の伝えたかった哲学について一緒に考える。
そういう作品こそが一流のマンガなのだ。
まぎれもなく本作は超一流だった。
岩明均はやはりアフタヌーンが誇る至宝だろう。