資産家の娘に生まれ、
美貌と美声を兼ね備えた主人公「史緒」と、
対照的な育ちながら、野望と策略で
オペラ歌手になる夢を果たそうとする、
もう一人の主人公「萌」
タイトル「プライド」の通り、
二人の女性のプライドを交えながら、
それぞれの人生を描く作品。
一條御大の作品は、
やはりオトナである。
無論、話の展開や筋は、ご都合主義的な部分も
あるかもしれないが、およそ男女間の物語においては、
この人の作品はやはり成熟している。
その意味で、昨今の若年層に
一條ゆかり作品がどのように映るのかは、
気になるところではある。
ラストの強引な展開は、
非常に賛否両論だろうが「一条ゆかり」らしくもあり、
二人の主人公という難しい物語を
しっかりと完結している点も含めて、
やはり熟練の腕を感じさせる作品だった。