まさに、一世を風靡したという表現が相応しい、
「柴門ふみ」の出世作。
今でこそ発表する作品の量や質から、
作者の知名度も随分落ちてしまったが、
この時代における著者の存在感は圧倒的であり、
まさに「時代と寝た」稀有なマンガ家の一人であった。
「東京」という漠然とした、
それでいて人を惹きつける舞台をもとに、
当時のリアルを反映した主人公、カンチとリカ。
そして、もう一組の主人公、三上とさとみ。
「P.S元気です俊平」においても同様だったが、
当時の柴門ふみの持つ人間描写力は、
同時代の他作品と比較しても郡を抜いており、
青年誌における一つのベンチマークになっていく。
現在、凋落著しいテレビ業界だが、
圧倒的な栄華を誇っていた90年代において、
その主役となるトレンディドラマの
その後の路線を決定づけたという意味でも、
一度は抑えておくべき名作である。