中村光は、やはりギャグマンガ家なのだなぁ、
改めて感じさせられた作品。
他人に借りを作れないエリート「リク」と
自称金星人のホームレス「ニノ」
そして、河童村長をはじめとした
彼らを取り巻く、荒川河川敷の不思議な住人達。
キャラクターと設定が抜群の為、序盤は勢いで読まされるが、
本作の人気を支えていた要因は2つある。
一つは純粋なギャグマンガとして。
そして、もう一つは、心に傷を持った不安定な人達が集まる、
ノスタルジックなファンタジーとしての側面だ。
マンガ的で異常なキャラクター達が、
現実に帰る瞬間というのは、
物語でカタルシスをうみだす黄金律であり、
これを自由に使いこなすのが天才「高橋留美子」である。
本作も十二分にその土台が揃っていたのだが、
良くも悪くもギャグマンガ家「中村光」はその道を選ばず、
あくまで、4コマ的な落とし方のギャグマンガとして本作を完結させた。
中盤以降の物語への賛否両論は、
そんな、ノスタルジックファンタジーを
夢見た人たちからの失望が混じっていたのだろう。
迷惑なはずの非日常が、
突然失われた時の虚無感を描いた、
そんな作品を読みたくなった今日この頃である。
荒川アンダー ザ ブリッジ コミック 全15巻完結セット (ヤングガンガンコミックス)
- 作者: 中村光
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る