つれづれマンガ日記 改

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荒川アンダーザブリッジ

中村光は、やはりギャグマンガ家なのだなぁ、
改めて感じさせられた作品。

他人に借りを作れないエリート「リク」と
自称金星人のホームレス「ニノ」

そして、河童村長をはじめとした
彼らを取り巻く、荒川河川敷の不思議な住人達。

キャラクターと設定が抜群の為、序盤は勢いで読まされるが、
本作の人気を支えていた要因は2つある。

一つは純粋なギャグマンガとして。
そして、もう一つは、心に傷を持った不安定な人達が集まる、
ノスタルジックなファンタジーとしての側面だ。

マンガ的で異常なキャラクター達が、
現実に帰る瞬間というのは、
物語でカタルシスをうみだす黄金律であり、
これを自由に使いこなすのが天才「高橋留美子」である。

本作も十二分にその土台が揃っていたのだが、
良くも悪くもギャグマンガ家「中村光」はその道を選ばず、
あくまで、4コマ的な落とし方のギャグマンガとして本作を完結させた。


中盤以降の物語への賛否両論は、
そんな、ノスタルジックファンタジーを
夢見た人たちからの失望が混じっていたのだろう。

迷惑なはずの非日常が、
突然失われた時の虚無感を描いた、
そんな作品を読みたくなった今日この頃である。

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