吉田聡が描く異色の傑作。
死者を6日間だけ生き返らせる「物体」と
蘇った死者を殺す、銀色の殺し屋。
およそ他に類を見ない壮大なストーリー構成は、
プロット協力ビッグ・オー(長崎尚志)の影響が
大きいのかもしれない。
ただ、個人的には浦沢・長崎作品は、
天才西原理恵子称するところの、
「 いつまでたっても混じり合わない 交響曲みたいなマンガ」
が多いのであまり得意ではない。
しかし、後半、
長崎尚志がクレジットから消えたお陰なのか
その辺りはわからないが、
本作のラストはギリギリ完結している。
ただし、完全にすっきりするというよりは
若干哲学寄りの結末なので、
読者を選ぶ作品ではあるが、
昨今の浦沢作品の結末よりは
多少ましなのではないだろうか。
蝙蝠のマンガやともだちのマンガは、
週刊連載で読んでいると面白いことは確かなのだが、
作品として高い評価を受けるべきなのか難しい問題である。
ジナスを覗くものは、また
ジナスからも覗き返されているのだ。