出雲の地を舞台に語られる、
日本神話と巫子の物語。
「樹なつみ」お得意の世界観溢れる名作である。
作者の作品としては、最長編になっており、
それゆえの強みと弱みが混濁している作品だ。
キャラクター造詣と世界観は抜群で、
特に序盤のサスペンス溢れる雰囲気は素晴らしい。
そして、その中で培われる主人公2人の友情は、
完全にBLなのだが、それ故に面白い。
反面、2人が相思相愛になり始めてからのストーリーや、
ラスト付近の展開は、やや困惑。
当初から、7本の聖剣を集めて出雲の呪いを浄化する、
という少年マンガ的な設定を入れてしまった分、
最後までそこに引きずられてしまった感が否めない。
とはいえ、抜群の実力を持つ作者なので、
後半の展開に対して、少し期待値が高くなりすぎたのも事実。
和風ファンタジー作品としては十二分に面白い作品である。
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