つれづれマンガ日記 改

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のだめカンタービレ

のだめカンタービレ

クラシック音楽という
既存の作品の少なかったジャンルで
一世を風靡した、
二ノ宮知子の大出世作である。

とにもかくにも
この作者のマンガはキャラクターが
活き活きと動き回る。


特に素晴らしかったのはやはり
主人公「のだめ」の存在だろう。

作中における彼女の動きの良さは
抜群であり、タイトルに相応しい
主役の存在感だった。

様々なアクの強いキャラクターの中において、
全く埋もれることなく最後までヒロインの座にいた
このキャラクターこそが、
本作の魅力のほぼ全てだと言える。

また、このどうしようもないダメヒロインが、
第一部の最後に大きく活躍する展開は、
やはり二ノ宮知子のプロットの上手さを物語っている。


その意味で、
本作はクラシック音楽をテーマとした作品ではあるが、
描かれているのは音楽以上に、
二ノ宮知子得意の人間ドラマであることは、
第一部と第二部の出来栄えの差を見ても明らかだろう。

音楽に比重をおいた、海外留学編は
若干の蛇足感を含みながら終曲する点は残念だった。

とはいえ、第一部までは明らかに面白いし、
第二部もつまらないわけではない。
ファンとしては十分に読めるレベルの作品である。

しかし、個人的に作者の最高傑作と捉えている
「天才ファミリー・カンパニー 」と比較してしまうと、
やはり、その完成度において、
後者に軍配を挙げてしまう。


過度な人気によって引き起こされる
連載長期化の弊害は、
現在のマンガ界の大きな課題の一つだろう。


無論、もし未読なのであれば、
第一部完結までは読んだほうがいい。

2000年代を代表する傑作のひとつである。

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のだめカンタービレ全25巻 完結セット (講談社コミックスキス)

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