つれづれマンガ日記 改

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風の谷のナウシカ

改めて読み返すと、偉大な作品だった。
年齢を重ねれば重ねるほど、
この作品の深さが伝わってくる。

アニメに関しては、もはや説明不要の
知名度を誇る本作だが、
マンガ版が圧倒的な骨太さを持った
大河浪漫である事を知らない人も多い。

しかし、90年代にこれだけ先進的な、
女性主人公を据えたSFを描いたのだから、
当時の宮崎駿の才能がうかがい知れる。

惜しむべき点があるとすれば、画力、そして構成力だろうか。

画力に関しては、カメラワークが動きすぎる点と、
色の少ない世界で、イメージの再現が難しいのか、
マンガとして読みやすいかというと決して読みやすくない。

いわゆるネームの部分が全く洗練されておらず、
読む側に努力を強いるタイプの作品である。

また、その特異な連載形式もあって
構成もかなり自由奔放であり、
作者自身がやはりマンガ家ではなく
映画家であったことを自覚した作品だったのだろう。

とはいえ、その重厚な設定と、
80年代から90年代に語られた環境問題への
一つの回答を示しているともいえるストーリーは、
20年の時を経ても色褪せる事のない珠玉の傑作である。

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