つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

1990年代男性系

遥かな町へ

画力でしか表現できないマンガもある。そんな事を感じさせてくれる数少ないマンガ家それが、「谷口ジロー」だ。 「神々の山麓」では、その圧倒的な描写力から、登山の世界を描き出し、「孤独のグルメ 」では、サラリーマンの何気ない日常をこれ以上ないほど…

私立樋渡高校COMICS

90年代後半といえば、オタク系の作品が、マンガ、アニメ共に増殖しつつあった時代だが、その世相を見事に反映した、オタク系COMICSが本作である。 漫研所属ながら、自前の技術でビームサーベルを作成して、高校の番長に君臨する主人公「安八」 そん…

ガンバ!Fly high

オリンピックシーズンだったので。数少ない体操マンガ。その中でも有名作品といえばやはり本作だろう。 主人公藤巻は、逆上がりもできないような素人。しかし、次第にその才能を開花し物語の舞台はオリンピックにまで広がっていく。 まさに王道少年マンガ。…

湘南純愛組!

週刊少年マガジン史上においても、その知名度において上位に君臨するキャラクターは、やはり、本作の主人公「鬼塚英吉」ではないだろうか。 当時のマガジンにおける、「カメレオン 」や「特攻の拓」など、ヤンキー系作品の中でも一際目立つ、「面白さ」と「…

東京ラブストーリー

まさに、一世を風靡したという表現が相応しい、「柴門ふみ」の出世作。今でこそ発表する作品の量や質から、作者の知名度も随分落ちてしまったが、この時代における著者の存在感は圧倒的であり、まさに「時代と寝た」稀有なマンガ家の一人であった。「東京」…

物の怪らんちき戦争

(2012年評)本作はいわゆる妖怪モノ。水木しげる御大のファンとしては、妖怪作品は基本抑えてしまうのだが、なかなか名作には出会いづらい。 以前、別作品でも評したように、妖怪=水木作品の為、その縛りから逃げようと、マイナー妖怪に走るか、オリジナリテ…

神童

数ある音楽系作品の中で、本作ほど音というテーマに正面から挑戦した作品は少ないだろう。 およそほとんどの音楽マンガは、音ではなくストーリーによって、紙面の中の演奏を描く。 それまでの展開、客席に座る観客の動き等の演出により、演奏が始まる前から…

D-ASH(ダッシュ)

(2012年評)秋重学と北沢未也のコンビが本作でデビューしたときは衝撃だった。 小学校のクラスで一番足の速い男の子「飯塚司」と、交通事故で片足が動かなくなった女の子「前田紗英」。お互いに惹かれあう二人は、出会い、そしてすぐ長い別れを味わうことに…

青い車

この手のマンガが少なくなったのは、やはり90年代と現在では、マンガ家の置かれる環境が違うからなのか。そんな事を思わされる、寡作のマンガ家「よしもとよしとも」の短編集。表題作「青い車」は、淡々としている。まるで何事もなかったかのような、日常の…

ジナス―ZENITH―

吉田聡が描く異色の傑作。 死者を6日間だけ生き返らせる「物体」と蘇った死者を殺す、銀色の殺し屋。 およそ他に類を見ない壮大なストーリー構成は、プロット協力ビッグ・オー(長崎尚志)の影響が大きいのかもしれない。 ただ、個人的には浦沢・長崎作品は…

隣人13号

「井上三太」といえば、TOKYO TRIBEだが、本作も忘れてはいけない。 小学生時代にいじめられた主人公が、いじめっ子のアパートの下の階に引っ越してくるという不気味な展開から始まる物語。 陰惨ないじめが原因で蓄えられた怒りは、別人格13号を心に誕生さ…

むじな注意報!

(2012年評)往年のチャンピオン読者ならばご存知の作者が「小山田いく」だ。 逆に、読まれていない方には、かなり知名度の低い作者でもある。 そんな「小山田いく」の記憶に残る限りでの最後のチャンピオン連載作品が本作だ。 不思議な転校生むじなとそのクラ…

ZERO

松本大洋の初期最高傑作と称される事も多い本作。異常なまでの強さを誇るボクシングのチャンピオン「五島雅」30近くなっても衰えを知らず、一度も倒れる事のないそのその力に、周囲の人間は畏怖の念を込めて「ゼロ」と呼ぶ。負ける事を知らないその才能は、…

作者の原点 ~ 三四郎2 さんしろうのじじょう

作品発表から早20年以上ということで、なかなか古本屋でも見つけづらくなった本作を久しぶりに再読。 いやぁ、懐かしい。好きだった作品も10年ぐらい読まないと、それなりに忘れるもので、再読すると当時の感動が甦ってお得な気分である。 設定自体は、至っ…

根こそぎフランケン

傑作である。麻雀マンガは、読み手を強く選ぶ傾向があるので、あまりレビューしていないが、それでも書いておきたくなるほど傑作である。まず、キャラクターが圧倒的に良い。主人公「フランケン」をはじめ、天才「竹井」、竹井打倒を誓う「田村」そして、舞…

じゃじゃ馬グルーミン★UP!

無目的に北海道の牧場に流れ着いてしまった、高校生主人公が牧童として成長していく物語は、全26冊と作者「ゆうきまさみ」の最長巻数作になっている。当時、競馬人気が今よりずっと高かった背景を考慮しても、一人の主人公の人生の流れをここまでゆったりと…

エルフを狩るモノたち

数年前から「2」が開始された、矢上裕の代表作。久しぶりに読んでみたら、当時は面白いアクションギャグマンガという認識だったが、随分とプロットが巧い作品だったことに気がつき感心させられた。よくよく考えてみると、異世界から日本に戻るために、エル…

中年スーパーマン佐江内氏 /未来の想い出

(2012年評)藤子・F・不二雄のSF短編作品は、私が最も愛するマンガの一つである。 そんな氏のSF短編の中でも、最も異彩を放つのが、本作に収録されている「未来の想い出」ではないだろうか。 主人公「納戸理人」は、あたかもF氏をモデルにしたキャラクター…

黒髪のキャプチュード

(2012年評)本日レビューするのはマイナー作品である。 今でこそインターネットの普及により、マイナー作品にもそれなりに日の目が当たるようになったが、本作が連載されていた90年代前半は違う。マイナー誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。…

西武新宿戦線異状なし

(2012年評) 「正しい恋愛のススメ 」のようなオトナの恋愛マンガが女性系雑誌のお家芸なら、男性系雑誌のお家芸は何か。 バトルモノはもちろんだが、一つのジャンルとして、戦争モノを挙げたい。 とかく武器や兵器にはまる人種はいる。 本作は、突如内戦が起…

風の谷のナウシカ

改めて読み返すと、偉大な作品だった。年齢を重ねれば重ねるほど、この作品の深さが伝わってくる。アニメに関しては、もはや説明不要の知名度を誇る本作だが、マンガ版が圧倒的な骨太さを持った大河浪漫である事を知らない人も多い。しかし、90年代にこれだ…

孤独のグルメ

(2012年評) 谷口ジローはやはり画力で魅せれる数少ないマンガ家である。 個人的には「神々の山嶺」がベストだが、本作孤独のグルメも捨てがたい。 その圧倒的な画力は並のマンガ家では描けないリアリティの高い世界観を紡ぎ出す。 孤独のグルメは有名な作品…

羊のうた

他人の血を欲する奇病に侵された、悲しい姉弟の物語。 冬目景の描く画風と、作品の雰囲気は、見事に調和している。 この作者特有の、不幸や不安が漂う紙面には、やはり才能としか評せない何かが居座っている。 画風はそのまま作風に影響し、ゆえに冬目景がほ…

玄人のひとりごと

故 中島徹先生の遺作であり、長期にわたってビッグコミックオリジナルを支えてきた偉大な作品。人生の玄人を自称する主人公「南倍南」の、旅、グルメ、ギャンブル、麻雀等などの様々な日々を描くギャグ漫画。淡々と主人公の日常を描くタイプの作品なので、何…

無謀キャプテン

相変わらずの島本節が展開する、逆境ナインに続く男の道三部作の第二弾。 自ら掘った墓穴に自ら落ちる主人公、「堀田戊傑」(ほったぼけつ)が繰り広げる物語だ。 ここまでの設定は大変面白かったが、いかんせん、勢いだけで突き進みすぎた。 学園内の物語で…

おきらく忍伝ハンゾー

今はなき子供向け雑誌コミックボンボンで連載されていた忍者ギャグアクション漫画。 敵を殺せる実力がありながら、おきらく忍術で相手を倒す主人公「ハンゾー」の魅力や、様々な登場キャラクター、物語を彩る世界観と画力 等など、復刊ドットコムで復活した…

機動公務員かもしか!

主人公桃栗三平はしがない地方公務員であり、なんでも屋、便利屋的な存在「かもし課」に配属されるところから物語りは始まる。 あまりに仕事がなくどうしようもない「かもし課」に呆れてしまう桃栗だが、持ち前の情熱を持って、街の人達の役に立てる仕事を見…

からくりサーカス

藤田和日郎と言えば「うしおととら」この定説は今も覆っていない。 確かに、うしおととらには無駄がなかった。作者の描きたいテーマが明確であり、物語としての完成度が高かった。名作である。 翻って、からくりサーカスには不評が多い。 作者自身もインタビ…

プラスチック解体高校

学園ジャンルと言えば、やはり「日本橋ヨヲコ」である。久しぶりに読み返してみると、この作品発表から既に十数年が経過しているのに驚かされる。当時、忽然とヤングマガジンに現れた鬼才は、その後も全くぶれることなく自分の信じる作品を発表し続けて現在…

ピアノの森

当時、「一色まこと」がピアノマンガを始めた時には、違和感しかなかった。あの、躍動感あふれるキャラクターが命の作者が、クラシックピアノの作品をどのように描くつもりなのか。そんな無駄な心配をものともせず、クラシックピアノが全く似合わないやんち…