宇宙人に襲われた地球が、
滅亡から逃れるための唯一の手段は、
主人公が小学生時代に戻って、友達を100人作ること。
描こうとしたテーマだけを取れば、文句なく100点なのだが、
コメントするのが難しい作品である。
成功すればマンガ史に残る傑作だっただろう。
しかし、成功したとは決して言えない。
本作がそれなりの評価を得ていることは承知しているが、
それでも敢えて、本作は成功していない、と断言したい。
とよ田みのるの作品には、ほんの少しだが、
読者を置いてけぼりにして、自分の作品に浸ってしまう空気がある。
いわゆる自己満足が出てしまうのだ。
本作が面白いマンガか、と言われれば、
面白い話もあるマンガだが、
全ての話が面白かったか?
と問われれば面白くない話もあったはずだ。
そして、一人一人が非常に重要であるはずの、
「友達100人」というテーマに対して、
つまらないお話が紛れ込むことは致命傷なのだ。
それでは、結論ありきで、ただ100人までの
数つなぎをする作品にすぎなくなってしまう。
実際、最初の頃の話の面白さゆえに、
その頃できた友達の思い出は心に残るが、
後半の友達の思い出は、あまり覚えていない
といった状態が読者に発生する。
「友達」という非常に難しいテーマに、
作者が敬愛するSF(少し不思議)ワールドを
加えたところまではよかった。
しかし、本作を描ききるほどの力量が
氏にはまだなかったと言わざるを得ない。
非常に惜しい作品である。
友達100人できるかな コミック 全5巻 完結セット (アフタヌーンKC)
- 作者: とよ田みのる
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/08/26
- メディア: コミック
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