普段あまり読まないタイプのマンガ。
雰囲気系の作品とでも言うべきか。
1巻のオビは天野こずえが推薦文を描いているが、
確かに似た系統の作品として『ARIA』等が挙げられるだろう。
ただし、本作はもっとファンタジーかつミステリー色が濃い。
誰も、出ることも入ることもできなくなった終着駅の町に、
主人公タビが何故か入ることができた場面から物語りは始まる。
なぜ、誰も出ることも入ることもできないのか。
同じ一日を繰り返すような閉ざされた町はいったい誰が作り上げたのか。
このあたりの設定は定番的だがやはり面白い。
しかし、残念な点がある。
キャラクターのリアリティに関してだ。
主人公タビが内向的かつ人と距離を置く人間である事が
強調されすぎていて、逆にキャラクターのリアリティを損なっている。
異性に裸を見られても驚かない。
命の危険が迫っていても知らない人に助けられたくなくて声も出さない。
この辺りは、やはり違和感を覚えてしまう。
ラストの落ちは良くできていると思うが、
ところどころでキャラクターの行動・発言に
違和感を感じてしまうため感情移入しずらくなっている。
個人的な見解だが、アニメと異なり、マンガの場合は、
ファンタジーな設定にファンタジーなキャラクターを描いてしまうと、
物語のうそ臭さが強くなりすぎる気がする。
アニメーションという世界は、音と動きの力を使って
強制的にその世界に視聴者を引きずり込むことができるので、
そのキャラクターのリアリティが低くとも多少は無理が効くのだが、
静的な存在であるマンガの場合はその強制力が低いのだと思う。
故に、ファンタジー色や設定の強い作品ほど、
リアリティあるキャラクターを載せたほうが
作品としてはバランスが取れるのではないだろうか。
まぁそこらへんは個々人の好みがあるので一概には言えないが。
タビと道づれ コミック 全6巻完結セット (BLADE COMICS)
- 作者: たなかのか
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- 発売日: 2010/04/10
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