つれづれマンガ日記 改

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アドルフに告ぐ

手塚治虫後期の代表作として、語られる本作。
その称号に相応しい、重厚で緻密に設計された
大人のためのファンタジー作品である。

タイトルに描かれているように、
物語の中心はアドルフ・ヒトラーのいた時代。

この時代に運命を狂わされた、
3人のドイツ人の物語。

ユダヤナチスとなると、ほとんどの作品は、
その残虐な側面しか描けないだろうが、
天才手塚治虫は、ブッダでも成功させた
エンターテイメントを前面に出す圧倒的な構成力で、
この作品を大人のためのマンガ作品として、
完成させる事に成功している。

この手腕は凄まじい。

唯一難点を挙げるとすれば、
ページ数と休載の都合上で、
ラストの展開がやや唐突になってしまった点や、
この当時の週刊連載作家全員が抱えている、
引き伸ばし病による部分だろうか。

しかし、その辺りを差し引いても、
この作品を読まない理由にはならない。

必ずオススメできる手塚作品の一つだろう。

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