デビルマンを産み出していなければ、
永井豪というマンガ家への評価は
全く違ったものになっていただろう。
もちろん、人気作品を多数排出した
一流マンガ家である事は理解している。
けれども、
デビルマンだけは別格だ。
デビルマンはその主題歌等から、
アニメーションの方が有名かもしれないが、
作品の質としては比べるのもおこがましい程に
マンガの出来栄えが素晴らしい。
悪魔の身体を持った人間の苦悩。
実在するマンガの中で、
これほど世紀末の混沌を紙面に落とし込めた作品を
私は知らない。
北斗の券は劇画的なその画力で
世紀末を描くことに挑戦したが、
カオスの描写においては、
本作の持つ「画力以上の何か」が、圧倒した。
残念ながら、それは読者が
直に本作を読んでみないと伝わらないだろう。
けれども、読んでみれば二度と忘れない。
そんな情念。
ハレンチ学園以後、弾圧されていた永井豪の
熱量の全てが投下されているといっても過言ではないだろう。
本作だけをもってしても、
永井豪は、マンガ界の頂点に君臨する価値があると私は思う。