つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

遥かなる甲子園

マンガというジャンルが、
子供の娯楽作品からどこまで広がっていくのか。
その発展の一翼を担ったといえるのが本作だ。

この作品のテーマは障碍者である。

耳が聞こえない「ろう学校」の高校生たちが、
自分の人生の生きがいとして野球を選択する。
けれども、当時の野球憲章には、
「ろう学校」の生徒を高校球児とは考えていなかった。

対外試合も公式試合も認められない存在として、
それでも、彼らは夢を諦めることなく、
全力で人生を闘う。

ノンフィクションの原作を、
球児の視点から再構築した本作は、
少し野暮ったい山本おさむの絵と相まって
新しいジャンルを開拓するに足る内容であった。

これからしばらくの間、
山本おさむはこのジャンルにのめりこみ、
「どんぐりの家」、「わが指のオーケストラ」
という傑作を生み出していくことになる。

そう考えるとマンガ史における本作の意義は大きい。

この泥臭い内容や絵柄は、昨今のマンガの流行からは
外れているかもしれないし、真面目なテーマが
常に良い作品を作り上げるわけでもない。

けれども、マンガ好きならば抑えておくべき記念碑的な作品といえる。

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