つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

幽☆遊☆白書

冨樫義博」の名前を広めた本作の発表から
そろそろ約30年が経過してしまうというのだから恐ろしい。

また、これほどのインパクトを残した作品の連載期間が
1990年から1994年のたった4年間ほどだったというのだから、
改めて考えても、お化け作品だったわけである。

現在は、終わらないHUNTER×HUNTERを連載中の作者だが、
この時代の頃は、まだ普通の作品を描いていた。

しかし、全巻を改めて読み直してみると、
作者が、ジャンプ連載作品で行われた様々な慣習を、
全てやり切った上で本作を終えていることが良く分かる。

序盤は、初期短編集や、「てんで性悪」あたりに見られた、
非日常とラブコメを含んだ妖怪探偵物語
そして、当時のジャンプ作品の王道であった、
師匠「幻海」との出会いと、後継者への試練。
蔵馬・飛影といった敵キャラと手を組んでの四聖獣編もよくある展開だったし、
武闘大会を描いた暗黒武術会編は、当時のバトル漫画の王道中の王道だった。

ここまで圧倒的に素直な少年マンガを描いているわけである。

しかし武術会編の中盤頃から徐々に、描かれる線の洗練さが増し、
少年マンガの領域を超え始め、そして、作者自身のオリジナリティが
最大に発揮され始めたといえる魔界の扉編へや魔界統一編へと続いていく事になる。

ここまで作品にして18冊。
既にジャンプ漫画のパターンともいえる歴史が辿った道を、
踏破したうえで作者は描きたいものを描き終えているのだ。

そう考えると、連載絶頂期にある作品が終了する事など
全く許されなかったこの時代に、
19冊目でこの作品を終える決断をした冨樫義博は流石に慧眼だった。
その為、最後のエピローグが一周回って、
幽助と螢子のエピソードを最後に幕を閉じている辺りも、
本作の完結に相応しい物語だったわけである。


現在のマンガ作品のように徹底的に練られた伏線や世界観こそないものの、
魅力的なキャラクターと誰にも描けなかったオリジナリティを誇ったという意味で、
本作は今なお、ジャンプの歴史に君臨する名作といえるだろう。

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