「中村明日美子」の描く可愛い女の子の物語も良いが、
やはり、本作のような世界観こそ、この作者に相応しい。
冒頭からの突然の女性の自殺と、
彼女の双子を名乗る謎の女性と、
行き詰まりの小説家。
序盤からのミステリアスな雰囲気を最後まで保ちながら、
全2冊で完結するサイコサスペンスの傑作である。
唯一難点があるとすれば、
その構成があまりに複雑なため、
軽い気持ちで一読しただけでは、
物語の謎が読み解けない点だろうか。
その意味で、ウツボラ謎解きサイトがあるので、
読後にググってみると、本作の完成度の高さに感心するだろう。
特に、ケーキの部分の描写は秀逸。
これは、私もサイトを読まないと気がつかなかった。
まぁ、そんな謎解きサイトがないと、
謎が解けない仕様で良いのかという話もあるが、
便利な世の中になったものである。
薄暗いサスペンスが好きな方にオススメしたい。