Sunny Sunny Ann!
で鮮烈なデビューを飾った作者「山本美希」の作品。
デビュー作を読んだ時は、この作風のままで、
この作者はどこに行くのだろうか、
と不安を感じたが、その不安を吹き飛ばしてくれる作品だった。
誰もがうらやむ絵にかいたような幸せな家庭の、
外国人妻「リサ」の旦那が突然失踪するところから物語は始まる。
夫を探し、徐々に崩壊していく日常生活と、
誰もがうらやむ幸せな家庭像。
そして、彼女を最後まで気にかける
隣人の少女「ツミちゃん」
一たびページをめくり始めれば、
最後まで手を止めずに読まされてしまう事だろう。
その日暮らしで生きていた前作の主人公Annと異なり、
本作は1冊で1つの物語として完結しており、読後の満足感もその分高い。
また、巻末の作者による作品解説が非常に面白い。
絵やコマ割りを通して、
物語をどのように伝えたかったか、
作者の意図がここまで細かく描かれた作品は、
ちょっと珍しいのではないだろうか。
その意味では、マンガ研究資料的にも貴重である。
「女性」と「外国人」
というテーマに深く取りつかれた、
作者の次回作はどこに行くのか。
そんな事を考えてしまう読後感であった。