（2012年評）
大ヒット映画作品のコミカライズ。
基本的にはコミカライズ作品には
あまり興味がないのだが、
「杉基イクラ」には興味があったので読んでみた。
原作映画の大ヒットは、
前作、「時をかける少女」への評価が反映したものであり、
原作映画自体は残念ながらそれほどの出来ではない。
中盤までは悪くないが、
ラスト付近の展開の強引さには
どうしても目がつぶれなかった作品だ。
良くも悪くもそのあたりも含めて、
完全にコミカライズには成功している。
あれだけグラフィカルな映像美で支えられている作品を、
よくもまぁ動きのないマンガに収録できるものだ。
恐ろしい才能といえる。
並の原作にすごいマンガ家がついた
稀有なパターンの一つだろう。
杉基イクラはこの作品で完全に名声を高めたと言える。
現在連載中の「ナナマルサンバツ 」への期待が高まる作者だが、
是非是非その調子で上り詰めてほしい。
