異端の画力「すぎむらしんいち」と、
思わせぶりの原作「リチャード・ウー」のコンビによる異色の物語。
日本に不法滞在する外国人と、その人権を守る裏都庁。
そして裏都庁の警察署長を務める、主人公「久保塚早紀」。
設定の面白さは圧倒的で、さすがに毎週の読者をひきつける力は、
相変わらずの長崎尚志である。
ただ、各エピソードは素晴らしいのだが、
全体的なストーリー構成は微妙という部分も相変わらずで、
全15冊を通して大きなカタルシスが得られなかった点は残念。
しかし、時折現れるネームのセンスは抜群で、
「盗んだり殺したりして手に入れられるのは、呪われた人生だけだ」や、
「人が人を殺しちゃいけない理由はな・・・その償い方を誰もわからないからだ」
等の数々の名言が、異色の物語を思い出深いものにしている。
ドラマ化と続編の「999編」が産まれたのも頷ける話である。
これで、全体構成と本筋のストーリーが良ければ、
不朽の名作だったであろう。
大人のサスペンスが読みたい方にオススメしたい傑作である。