つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

かってに改蔵

異端のギャグマンガ家「久米田康治」が、
そのスタンスを完全に確立させたという意味でも、
デビュー誌を去ることになったという意味でも、
色々と記念碑的な作品。

毎回、常人には思いつかない謎のテーマを掲げて、
特異な時事ネタを展開する、そのギャグマンガスタイルは、
まさに作者のネタである「マンガ界のバージンスノー」を踏んだ
稀有な作品であった。

この作品を転機にデビュー作の頃の下ネタ一辺倒から、
ブラックジョークの領域にでも作風が広がった事が、
現在まで、作者が現役で活躍できている要因だろう。

また、途中で貼られていた伏線の回収と
最終話の締め方も見事で、当時の世紀末感をかもしながらも、
独特の日常の幸せに回帰させた点で、鮮烈な最終回であった。

しかし、それだけの偉業を残した作品が、
漫画賞ノミネートだけで終わってしまったのに対して、
移籍先の講談社で漫画賞を受賞する事になるとは、
何とも皮肉なものである。
まぁ、「久米田康治」らしいと言えば、それまでだが。

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