つれづれマンガ日記 改

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羊の木

いがらしみきお」の作品は
どれも怖いわけだが、
どちらかというと静かな怖さである。

そこに原作「山上たつひこ」がついたことで、
設定的には最も強烈な作品となったのが本作だろう。

凶悪な元犯罪の受刑者11名を、
街に受け入れる事で法務省から補助金をもらうという
取引に応じた市長の物語。

徐々に本性をあらわす受刑者と、
ただ、静かに街の暮らしに溶け込む受刑者。
様々な思惑が相まって、
不気味さとシュールな笑いを含んで進む物語だが、
最後の展開だけは、どうにも物足りない。

ただ静かに怖さを描いていた、いがらし作品であれば
不条理な終わり方をしてもそこまで不満がなかったのだが、
原作がついたことによる斬新な設定と、
思わせぶりなキャラクター達を必要以上に配置した分、
いつものシュールで不条理な結末では
物足りなくなってしまったのだろう。
この辺りは難しい問題である。

ただし、ページを最後までめくらせる力は圧倒的なので、
その辺りの面白さは是非体感してほしい。

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