つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

神のみぞ知るセカイ

長期連載作品は、
終わり方を見誤るケースが多いが、
その手の失敗が少ないといえばやはりサンデーである。
その意味で本作は、
見事なまでに綺麗な終わり方の作品だった。


ブコメという、マンガ界最高の競争率を誇るジャンルの中で
「ギャルゲー大好きの主人公がリアル世界を恋愛で救う」という、
全く新しいジャンルを開拓した点がまず凄い。


そして、その設定ゆえに数々のヒロインが出てきたが、
その魅力に全く負けない主人公「桂木桂馬」のキャラがスゴイ。

主人公のキャラ立ちの強さには、
諸星あたる」以来の偉業を感じた。


そして、それだけでも十分人気が出たにも関わらず、
最終26巻まで伏線を忘れずに作り続けた、
トーリー性が素晴らしかった。


初連載を打ち切られている作者として、
「初期編」「女神編」「過去編」と
3部に分けた物語作りをしている点も高く評価したい。
このおかげで中だるみもあったが、
いつ打ち切られるかわからない週刊連載の場合、
この構成が現状、ベストなのだ。


世界をずっとゲームとして眺めていた主人公が、
最後に選んだ、自分を現実に引き戻してくれた女性。
そのラストに感動した。

色々と賛否両論あるラストだが、
トーリーのバランスという意味では、
間違いなく最高の選択肢だったであろう。


ゲームで引きこもっていたという作者「若木民喜」の経験は、
結果として、設定、キャラクター、ストーリーという、
名作と呼ばれるマンガが決して外さないポイントを
見事に抑える傑作を産みだす力に昇華されたのだ。


サンデー読者の記憶に残る名作である。

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