つれづれマンガ日記 改

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道士郎でござる

今日から俺は!!」が終わってしまったら、
この作者はどうなるのか。

そんな失礼な考えを西森博之に対して抱いていた時期もあったが、
今となっては完全にこちらの目が節穴だった。

結局のところ、どんなマンガでも描ける達人だったのだ。
今も、気楽に自分の気の赴くままに連載を続けている。

本作「道士郎でござる」もまさに
そんな作者と同じような雰囲気を持つ作品で、
とりあえずアメリカからやってきた日本かぶれの侍高校生道士郎が、
武士道のなくなった現代で、自分の信じるままに武士道を貫く物語である。

道士郎自体はいわゆるスーパーキャラの設定なので、
何をやってもうまくいくし、誰とケンカしても勝ってしまう。

ただ、それだけだとマンガは面白くない。
その部分をこのマンガ家は十二分にわかっている。

そこで登場するのが、同じクラスメイトの一般人ケンスケ殿だ。

主人公道士郎は、この本当に何の取り柄もない凡人キャラを
「殿」と呼んで仕え始めるのだが、
最初はつきまとわれて嫌がっていたケンスケ殿も、
道士郎の気概や仁義に触れて徐々に変わっていく事になる。

その成長過程が読んでいて大変気持ちよい。

今日から俺は!!」も結局のところ同じなのだが、

西森博之の作品は
「読んでて気持ちいい作品」
なのである。

この「読んでて気持ちいい」は案外に難しくて、
多くのマンガ家が自己満足の
「読んでて気持ちいい」シーンを描いているのに対して、
西森博之は確実に読者の気持ちをつかむ
「気持ちいい」シーンを提供してくるのである。

ゆえに麻薬性が高い。
絵もコマもセリフも、
何かが物凄く抜きん出ている気はしないし、
事実抜きん出ていないはずなのだが、
結局のところ 、他人に推薦したくなるような
面白いマンガに仕上がっているわけだから
マンガというのは相変わらず奥が深い。

 

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