つれづれマンガ日記 改

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異端の経歴 ~ カリフォルニア物語

異端の才能と呼ぶに相応しい
吉田秋生」の存在を世に知らしめたデビュー作。

カリフォルニアに住む高校生という設定自体から既に異端の作品ではあったが、
当時、この手の世界を描かせたら右に出るものはいなかった
萩尾望都」の影響は強く受けており、
序盤の世界描写等は、完全に作者オリジナルという世界観ではなかった。

しかし、連載が進むにつれて徐々に作者自身の作風が発揮され、
特に後半、絵柄が少女マンガを離れれば離れるほど、
そのまま「吉田秋生」の世界が
確立されていく過程は読んでいて非常に面白い。

ここから「吉祥天女」や「BANANA FISH」
といった名作が産まれてくるわけである。

 

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こうして、「萩尾望都」や「大島弓子」といった
当時の異端ともいえる存在こそを
少女マンガととらえてデビューした作者が、
現在、少女マンガ界を代表する作品を
描いている歴史に感動を覚えるわけである。


作品自体は、ニューヨークを舞台にした、
行き詰まりの青春を描いた作品で、
今改めて読み返しても古臭さはない。

わかぎえふ」が巻末エッセイで語っている
「結果から考えると彼女だけがまんが家の中で別の人種だった」
という表現が最も適切なのだろう。

そして、そんな異端の才能が、
ついに原点に返って描いている
昨今の海街シリーズが面白いのは、
至極当然の結果なのである。

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